国道173号旧線 龍化隧道

今はダム湖に沈むこの道が、この手掘りの隧道がかつて国道だった。にわかには信じられないだろう。 しかし昭和38年に国道173号の指定を受け、国道昇格している。 国道の再整備とダム建設の時期が微妙に重なった事もあり、ダム湖の右岸、左岸、上、下と年代ごとで 違うのもまた面白いと思う。

現在は遊歩道になっている旧国道へと降りる。間近でみると手掘りにも関わらずその大きさに驚く。 ダム湖に沈み、多少水の浸食をあるだろうが、それでも元は大きな隧道だということが分かる。 また遊歩道自体も水没する事がある為、ゴミ等の散乱が激しく足元に気をつけなければならない。

初めて訪れた後、何度か近くまで来る機会があった。その時は水も引いていて内部に侵入できた。 短いながらも天井も高く、昔はバスも通ったのか?なんて思ったりもした。 「大阪の街道」(神野 清秀・著、松籟社)には現役の頃であったと思われる龍化隧道の写真があり、 今見る景色と若干違う事に気付かされる。

内部には当然、照明設備も無く、その痕跡すらない。いや、元々無かったのだろう。 反対側から見ても隧道の大きさがよく分かる。 当時、この地域は水害の多い土地でもあり、川沿いの道ではなく、隧道を掘ったところで有用性があったのか? と思ってしまったが、こればかりは当時を知る人でないと分からないだろう。

遊歩道を上がり、ダム湖の湖岸にある現龍化隧道の出口そばに一つの石碑が立っています。 石碑自体は綺麗な為、近年作られた物とばかり思っていました。 昔は龍化隧道傍にあったらしいのですが、ダム建設にともない上の湖岸道路に移されたようです。

碑の側面になにやら細かく彫られてあります。

簡単に要約すると大正五年、大阪の人植村治良兵衛が私財をもって開鑿したその経緯がこの碑に残されている様です。 後追いとなりますが、この龍化隧道より川西市側に煉瓦巻きの「円山隧道」もあるとの情報を得て、現地に赴いています。
「圓山隧道」

夏の一時にしか姿見せない旧国道173号の隧道達。機会があれば是非一度、この素掘り隧道の姿を見てみては如何?

―謝辞

問い合わせにお答えくださった猪名川町役場、川西市役所の方々。


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